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風神帖より
 今、先進国の都会に住む者はみな肉体性の欠如に悩んでいる。肉体は半ばは自然に属するものだから、自然がないところに正しい肉体観はない。ジャックはぼくが知るかぎり最も優れた肉体の持ち主であり、最も実際的で正確な自然観の持ち主だった。だから彼との生活は厳しく、また楽しかった。
『さようなら、ジャック。』より

人は外国語ができる者をうらやむが、外国語に堪能な者はたいていの場合まず日本語がうまいのだ。母語を、一つの言葉としてではなくすべての言葉の原型として身につける。日本語というレベルよりも深い一般言語として習得する。それができていれば、原理は他の言語にも応用できる。そういう基本的な言葉の能力、言葉のセンスというものがある。

 日本人はつつがなく生きようとしている。周囲の人々から浮かないようにつつましく暮らし、大過なく人生を送る、日本の社会が個人に要請するのは基本的にそういうことだ。
上記2つ『異国に生まれなおした人』より

風神帖―エッセー集成1 (エッセー集成 1)

池澤 夏樹 / みすず書房


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by afterthecycle | 2011-01-20 16:33 | book
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